日本を代表する自動車メーカー、トヨタのチームビルディングを題材とした一冊です。
どの会社にも上司と部下、先輩と後輩というような上下関係がありますが、トヨタでは部下や後輩に対して、徹底的に考えさせて知恵を搾り出させるという方針で業務を行っています。
本書ではかなり難しい課題を部下に与え、それを解決していくという事例が数多く紹介されています。小手先の知識や技術ではなく、とにかく自分たちが当事者だという意識を持たせ、徹底して調べ、考えさせる。トヨタのような大企業では数多くの社員が働いていますが、一人ひとりが貴重な戦力となるべく、大小さまざまな工夫がされていることがわかり、とても感嘆させられました。
本の中でトヨタ式の鉄則として
「前工程は神様、後工程はお客様」
という言葉が紹介されています。
前工程は自分たちにできないことをやってくれるありがたい存在であり、後工程は自分たちの仕事を受け取ってくれるお客様という意味です。チームで仕事する上でこの上ない考え方だと思いました。
近年、IT系のベンチャー企業の活躍が顕著ですが、そのようなベンチャー企業の活躍は、トップである代表取締役社長やCEOと呼ばれる人たちの圧倒的な実力とカリスマ性によるものだと感じます。
そのため、トップが倒れたり辞めたりすると、簡単につぶれたり、買収されたりしてしまします。しかし、トヨタではトヨタ式という徹底した業務推進機能と日々のカイゼンの積み重ねを重視し、働いている社員ならどんな人でも強い社員にするという方針が特徴です。だからブレる事無く、現在の日本を代表する企業であるのだと思います。
なにはともあれ、本書を通じてなぜトヨタが優れた企業であるのか、その一端を垣間見ることができました。トヨタ式の全部を実践することは難しくても、手をつけやすいどれか1つから始めればきっと何かが変わると思います。
この本は特にチームで仕事をしているビジネスパーソンに読んで欲しい1冊ですね。強いチーム、強い会社を作りたい方に是非おすすめです。