2016年2学期に受講した「宇宙を読み解く ’13」の講義雑感です。
講義概要
宇宙とは、私たちが住む世界そのものであり、人間存在の根源である。本講義は、理系・文系を問わず、宇宙というものの基本を理解してみたいという広い要望に応えるため、現代に生きる地球市民のための宇宙の教養・総合的な入門講座として組み立てた。人間と宇宙との古くからの関わりにはじまり、太陽系の新しいイメージ、天体物理学の基礎、宇宙という巨大なスケールの把握の仕方、現代の宇宙観測とそれが明らかにした多彩な天体の世界、謎のダークマターやダークエネルギー、膨張宇宙の直感的把握と理解の極限まで。人間は奥深い宇宙にどこまで分け入ったのか、また現代科学は宇宙をどこまで・どのように読み解いているかを、分かり易く講義する。
授業の目標
宇宙について現代の市民が教養として持つべき基本的な認識を、歴史的考察から現在の最先端のテーマまで、文系の受講生にも十分わかりやすい形で展開し把握してもらうことが目標である。個々の天体の具体的解説は専門科目に譲り、従来の宇宙の講義にはない切り口を工夫し、物語的要素を全体の縦糸として展開することで、宇宙の奥深さ、それを理解する楽しさを伝えたい。さらに、サイエンス・コーディネータにアシスタントとしてビデオ授業に毎回参加してもらい、変化のある楽しい講義とすることを目指す。
履修上の留意点
この講義では、専門的知識は前提としない。科学的探究が宇宙をどこまで追いどう理解してきたか、それは人間が積み上げてきた知の冒険である。受講者もそれをともに体験し、それぞれに「自分の宇宙」を広げていただきたいと思う。だが個別のテーマをより深く理解したい受講者には、評論社で刊行中の『シリーズ・現代の天文学』が参考になるだろう。特に第一巻『人類の住む宇宙』は、宇宙の全体的概念をつかむのに良い。また放送大学の専門科目には、『宇宙とその進化』『太陽系の科学』などの講義とテキストがある。
講義雑感
『宇宙を読み解く ’13』
大学生向けの天文学の入門編といった科目。しかし結構難しいです。
やたら学習範囲の広い科目でした。天文学に関する歴史的な話から、ダークマター、ダークエナジーなどの最新知識や銀河の種類やブラックホール、一般相対性理論まで天文学に関する話題がてんこ盛りです。
印刷教材の見出しは以下の通り。
■1章:宇宙の認識と宇宙の広がり
■2章:新しい太陽系への展開
■3章:重力とはなにか:ガリレオからアインシュタインへ
■4章:宇宙をつくる物質
■5章:望遠鏡が広げた宇宙
■6章:星の進化が多様な星を生み出す
■7章:宇宙のかたちを読み解く
■8章:宇宙空間から宇宙を観る
■9章:宇宙の惑星と生命
■10章:宇宙の巨大階層・銀河の世界
■11章:銀河の活動・衝突・成長
■12章:宇宙の激しい現象を読み解く 超高エネルギー観測
■13章:宇宙の膨張と宇宙の果て
■14章:深まる謎:ダークマターとダークエネルギー
■15章:137億年を読み解く
とにかく、取り扱っている範囲が膨大で覚えることがたくさんあったという印象です。
しかしながら、天文学や宇宙論に興味のある学生なら、知的好奇心をかなり満たしてくれることは間違いないと思います。放送教材の内容も単純に印刷教材をなぞっただけのものではなく、楽しく見ることができました。ただやっぱり専門的な内容に関しては、現在知識では完璧には理解できなかった。まぁそんなに簡単ではないのが天文学といったところでしょうね。
試験は択一式で10問出題されました。どれも「間違っているものを1つ選べ」という形式です。印刷教材とノートの持ち込みはOKでした。実際に試験を受けてみて、これは持ち込みOKじゃないと厳しいな・・・と感じました。
持ち込みOKでも予めちゃんと印刷教材の読み込みはしておいた方がいいと思います。どこに何が書いてあるかくらいは頭に入れておいた方がよいでしょうね。ちなみにこの科目はH28年2学期で閉講です。H29年1学期から「初歩からの宇宙の科学」という講義が開講します。この科目は「宇宙を読み解く」の単位を取得した学生も受講できます。私も専門科目の「宇宙とその進化」の前に「初歩からの宇宙の科学」を受講する予定です。
試験概要 | |
試験結果 | @ |
持ち込み | 持ち込み可 |
難易度 | A |
宇宙を読み解く ’13の理解を助ける参考書
印刷教材の他に私が学習で参考にした書籍を紹介します。