2023年1学期に受講した「入門微分積分 ’16」の講義雑感です。
講義概要
微分積分学が自然科学・工学の発展において中心的な役割を果たしていることは言うまでも無い。ある量の変化に伴って、他の量の値も変化する関数の関係はどの分野においても重要である。二つの変量の間に関数の関係があれば、それらの変化量の割合を記述するものとして、導関数を考える。一般に導関数を求めることを微分するという。その逆演算として積分がある。積分法を理解するということは、面積・体積などへの応用手段を獲得するというだけでなく、関数方程式を取り扱う領域への入場券を手にすることなる。この授業科目では、微分積分についての知識を前提とせず、大学レベルの微分積分を展開する。
授業の目標
微分積分学の基本事項を理解することを目標とする。一般論の理論の把握に努め、具体的な計算では自ら手を動せるようになることを期待する。新しい概念を真に身につけるためにはその概念になじむことが必要であり、数学的な言い回し、数学記号も繰り返し使用することによって違和感がなくなることを実感してほしい。また、基本事項をおろそかにせず、丁寧に積み上げることの重要性を体得することを心がけていただきたい。
履修上の留意点
本科目は実一変数関数の微分積分に限っている。実多変数関数や複素変数関数へ勉強を進めたい学生へは「解析入門(’14)」を履修することを推奨する。また、積分法の先にある微分方程式論については、「微分方程式への誘い(’11)」を履修することをお勧めする。印刷教材を参照しながらノートを作成し、演習問題などを自ら解答することが望ましい。更に、放送授業によって理解の確認をされることを期待する。
講義雑感
数学を代表するトピックである「微分・積分」を学ぶ科目である。高校で学ぶ微分積分に加えて、大学数学で扱う公式なども含まれていた。印刷教材の目次は以下の通り。
■1章:実数・数列
■2章:関数
■3章:単調関数・逆関数
■4章:導関数
■5章:微分法の基本公式
■6章:曲線の概形
■7章:平均値の定理の応用
■8章:不定形の極限
■9章:不定積分
■10章:積分法の基本公式
■11章:定積分と面積
■12章:広義積分
■13章:体積・曲線の長さ
■14章:級数
■15章:整級数・関数の表現
自然と環境コースの導入科目であり、数学の科目の中では一番基本的な内容を扱っている科目でもあるが、個人的にはかなり苦戦した科目であった。
この科目の特徴は、各章ごとに3問の課題が提示されて、放送授業の中で3つの課題を解決していくという方法が取られているという点である。問題演習に近い内容だ。また章末には演習問題も収録されており、とにかく微分積分の問題を解けるようになる、というのがこの科目の目標のようだ。
演習問題は難易度の低い「A」と、難しめの問題である「B」と2つの区分に分けられている。印刷教材の巻末には演習問題の解答も収録されているが、「A」の問題については「答え」のみが記載されていて、途中の計算方法などは書かれていない。「B」の問題に関しても、答えに至るまでの略解と答えが記載されているだけだ。正直不親切だとは思う。
微分積分という学問の中において、この入門微分積分という科目は1変数の微分積分を扱っているとても基礎的な科目ではあるので、今後、自然と環境コースの科目を学習していくつもりの学生だったら、しっかりと内容を理解しておきたい科目であるだろう。
ちなみに単位認定試験については、印刷教材と放送教材で取り扱っている問題ほど難しい出題はなかった。私でも成績は「@」だった。
試験概要 | |
試験結果 | @ |
持ち込み | 持ち込み不可 |
難易度 | A- |
入門微分積分 ’16の理解を助ける参考書
扱っている内容も難しいところが多く、今こうして読んでいても、あまりわかっていない所は多い。
というわけで、放送教材と印刷教材だけでは勉強が進まなかったので、「マセマの微分積分」のテキストを併用した。
問題演習の解説については、マセマの方がはるかに詳しく書かれているため、とても勉強になった。ただ、放送教材や印刷教材とまったく同じ問題というのは少なく、学習を進めるのは楽ではないと思う。