ほめるっていうと、なんだか親が子供に対して行う行動のように思えます。「マンガでわかる!ほめる技術」では、そんな、ほめるという行為を仕事にうまく活かすための様々なコツが紹介されています。
私は今の職場に就職して4年目になります。昨年は「サブトレーナー」という役職もいただき、この1年間は自分の業務と折り合いをつけながら、後輩スタッフに仕事を教えたり、サポートをしてきました。私が働いている職場のスタッフは、ほとんどが障がい者です。そういう意味では一般的な会社とはずいぶん異なっているように思えます。しかし、会社で仕事をする、という行為そのものは他の会社とはそんなに変わらないのではないか、と思うようになりました。
本書では「ほめる技術」をテーマにしたマンガです。部下の育成や人間関係に悩んだ7人の登場人物に対し、行動科学を熟知したある女性が1人ずつアドバイスしていく、という構成になっています。
ただ闇雲にスタッフをほめるという内容ではありません。本書に書かれていた内容で、私がつかんだポイントは以下の2つです。
・具体的な行動だけに焦点を当てる。
・ほめる時はどういう行動がよかったのか伝える。
という点です。
一言でいうと、ほめる対象にわかりやすく伝えるということです。
後輩や部下に対して、
「しっかりやれよ」
とか
「ちゃんとやれよ」
とか、ついつい言ってしまいますよね。でも言われた側からすると、何がしっかりで何がちゃんとなのか、わかっていないと本書では主張しています。そこで相手にわかりやすく伝えるコツが必要になってくるわけです。「何がしっかりで、何がちゃんとなのか」そういう事をわかりやすく伝えることができれば、指示された方も、指示内容を正しく理解して仕事をすることができます。そしてその行為の結果を、上司や先輩が「ほめる」そういうプロセスが重要です。
7人の登場人物に合わせて、マンガの中身も「Chapter1」から「Chapter7」に分かれていて、それぞれが完結しているので、テンポよく読み進めることができました。業務でよくありそうな、具体的な事例も取り上げられていて、明日から即実践できそうなこともありました。
仕事を進めていく上で、コミュニケーションは重要です。当然お金をいただいたて仕事しているのだからしっかりやるのは当たり前ですが、仕事をしているスタッフには給料というわかりやすい対価だけでなく、仕事を通じてそれぞれの目標や願いを達成することができれば、もっと仕事って面白くなると思うんですよね。そんな時に、「ほめる」というコミュニケーションをうまく取り入れることができれば、ただ単純に「お金のため」とか、「お客様のため」とかだけでなく、「自分のため」に働くことができるのではないでしょうか。
シンプルに「ほめる」ということをテーマにした本書ですが、読み終えてみると、仕事をスムーズに進めていくコツのような物が学べたような気がします。部下や後輩の育成に悩んでいるビジネスパーソンにとって、本書はおすすめできる一冊です。