ふらふらっと本屋さんに寄ってみたら、新刊書コーナーに積んであったのを目にして手に取ってみた一冊です。著者はアベノミクスを支持するという立場であり、アベノミクスの成功を前提とした内容になっています。ここら辺が読み手に取って評価の分かれる部分かな。
日本のデフレの正体
本書ではデフレを
「物価が持続的に下落していく経済現象」
と定義しています。持続的とはIMFのデフレの定義で2年間です。そしてその正体を、
人々が自由に使えるおカネ、すなわち所得が増えないことには、全体の物価は持続的には上がらないのです。
と述べています。簡単にいうとお給料も物価も下がってしまうことがデフレの正体だということです。デフレ原因はバブルが崩壊し需要の急激な下落が発生したことであると指摘しています。
アベノミクスの狙い
安倍首相は経済の再生を「我が国にとって最大かつ喫緊の課題」と位置づけ、デフレを克服し、強い経済を取り戻すことを高らかに宣言しました。具体的に安倍首相がやろうとしている日本経済の立て直しの方策は、アメリカの経済学者アーヴィング・フィッシャーが提唱したリフレ政策の考え方がもととなっています。アベノミクスとは特別に個性のある政策ではなく、すでに他の国で実行されたことのある政策だったのかとわかり、驚きました。ただ著者は、デフレ脱却には、覚悟と我慢が必要ですと指摘しています。日本が他のデフレ国と違うのは、日本はデフレに陥ってから15年という時間が過ぎているからです。アベノミクスは成果がでるまでには時間がかかるだろうと考えられています。しかし、
すぐに効果が出ないからといって、せっかく始まろうといている壮大な実験の結果を早急に求めるのは賢いとは言えません
と慎重な態度をとっています。
で、アベノミクスで結局給料はあがるのか?
本書の中では給与を3つに分類して説明しています。1つ目が「所定内給与」これは毎月月額で頂いている給料です。2つ目が「所定外給与」これは残業代。3つ目が「特別給与」ボーナスのことです。アベノミスクが成果を上げることによって、企業の業績も良くなります。そうすると、働く時間が増えるので、まず1番最初に上がるのは「残業代」であると述べています。次に上がるのが「ボーナス」そして最後に上がるのが「所定内給与」つまり、毎月いただけるお給料です。
まとめ
本書の内容をまとめると、日本がなぜデフレなのかという解説から始まり、アベノミクスの内容を説明し、最終的に日本はデフレから脱却し経済は回復すると結んでいます。たぶん政治や経済に詳しい人たちからすると、「こんなにうまくいくわけないよ」と言いたくなる部分も多々ありますが、私のような政治経済に疎い人間がアベノミクスの概要をざっとおさらいするにはうってつけの本だと思いました。
アベノミクスが成功しても、直接私たちの給料が上がるには数年の時間が必要とのことです。しかしながら、安倍政権の成立後、円安が進み株価が上昇したことを考慮すると、うかれてはならないと思いつつ、将来の景気回復に期待してしまいますね。安倍総理には景気回復に向けてこれからも一貫した政策を続けてくれること期待しつつ、本書の書評を終わりにします。